Das Projekt/The Project

プロジェクト

当プロジェクト、“アシュート、古代エジプトのネクロポリス:記録と解明”は、2005年半ばから2019年末までドイツ研究振興財団の助成を受けている。それ故に、この長期プロジェクトは14年半以上の持続的研究とフィールド調査に携わることとなる。第1回目のサーベイは2003年にカールらにより行われ、2004年の調査はマインツのヨハネスグーテンベルグ大学の助成を受けた。

中エジプトにあるアシュート市街近くに位置する、ゲベル・アシュート・アルガルビというネクロポリスのある山(ゲベル)にある、第1中間期(紀元前21世紀)と中王国時代(紀元前20世紀)の複数の州候の墓から出土する遺物、出土状況、碑文、装飾などはくまなく記録され、出版される予定である。この研究への試みは、アシュートが内戦期間の影響を受けた時期、およびそれに続く時期に重要な文化的、経済的進歩の歴史と芸術に関する見識を深めてくれるであろう。さらに研究目的は、ゲベル・アシュート・アルガルビ、その場所を調査することにある。何故なら、アシュートは古代エジプトの文化的記憶の多くを担っており、数千年にわたり、編年的および質的な貢献が続いたからである。第1中間期と中王国時代の碑文はアシュートのネクロポリスに由来するものであることが知られ、2000年以上にわたりエジプト各地で引用された。こうした資料や遺物の疑う余地のない価値は、アシュートの宗教史的、歴史的な重要性、碑文の言語(学上)の質、そして心性(高い自尊心と同時に存在する王への忠誠)を反映している事実にあるといえるだろう。

当プロジェクトの主任は、ヨハネスグーテンベルグ大学マインツのウルスラ・ファーフォーヘン・ファンエルスベルゲン教授、ベルリン自由大学のヨヘム・カール教授、またエジプト側ではソハーグ大学のマハムード・エルカドラギ教授、モハメッド・アブデルラヒーム教授、アフメッド・アルアンサリ教授、マハムード・エルハムラウィ教授、ヘシャム・ファヒード・アフメッド博士が調査に携わっている。プロジェクトのフィールド調査は、エジプト考古省、考古最高評議会のインスペクターや修復家によるサポートを受けている。2008年2月にエジプトのソハーグ大学教養学部エジプト学科と、ドイツのマインツ・ヨハネスグーテンベルグ大学歴史文化学部エジプト学科との間の、科学協力における合意覚書が調印された。

出版物

 

過去のフィールドワーク調査史

2018年(シーズン14)

・ゲベル・アシュート・アルガルビのマッピング継続

・第1号墓の玄室を含めた地下建築構造のクリーニング完了

・第1号墓の参道のクリーニング継続

・第5号墓の前庭エリアのクリーニング継続

・第1号墓の参道と地下構造、第5号墓、ゲベルの様々な(山の地質・高さ区分)ステージの遺構平面図作成

・第1号墓の3Dプランの製作作業

・第1号墓とM12.3号墓の碑文・装飾調査の継続

・第1号墓と参道、第5号墓、ゲベルアシュートの様々な遺構および遺物の写真記  録

・エジプト人修復家らによる第1号墓の修復作業

・土器の調査と記録 特にイヌの墓、第1号墓、ローマおよびビザンチン帝国、イスラム帝国期土器

・シュツブにある収蔵庫にて遺物、特にミイラ・カルトナージュ、小像、供献卓の調査と図面・写真記録

・第1号墓の観光客受入れに向けたインフラ整備

 

2017シーズン13

・ゲベル・アシュート・アルガルビのマッピング継続

・様々な遺構、第1号墓の地下遺構および参道のクリーニング継続

・第5号墓の前庭エリアのクリーニング継続

・ゲベルの様々なステージ(山の地質・高さ区分)の遺構、第5号墓、第1号墓(参道と地下遺構)平面図作成準備

・第1号墓の装飾照合作業

・(山の地質区分)ステージ3と第5号墓の遺構平面図作成

・第1 号墓の装飾と碑文調査の継続

・第1号墓とその参道、第5号墓、ゲベル内様々な遺構、遺物の写真記録

・エジプト人修復家らによる第1号墓、第5号墓、コプト教礼拝所J11.3の修復作業

・土器の調査・記録、特に第3号墓、第4号墓、ステージ7の遺構出土のもの

・イヌの墓出土の動物骨とイヌのミイラの調査・記録

・シュツブにある収蔵庫にて遺物および

イスラム土器の図面および写真記録

 

2016年(シーズン12)

・ゲベル・アシュート・アルガルビのマッピングと踏査・測量の継続

・第1号墓の地下建築構造、第一広間、前庭、参道のクリーニング

・第1号墓の3Dプランと動画の製作

・第1号墓の碑文・装飾調査の継続

・第5号墓の前庭エリア、第4号墓の通路のクリーニング

・(山の地質区分)ステージ3と第5号墓の遺構平面図作成

・M12.3号墓と第5号墓の装飾と碑文の照合

・第1号墓、第5号墓、N10.1号墓、ステージ3の建築学的構造、遺物の写真記録

・エジプト人修復家らによる第1号墓、第5号墓、I10.1号墓、M12.3号墓の修復作業

・第3号墓、4号墓、N13.1号墓出土の土器の調査と記録

・H11.1号墓出土の動物骨の調査と記録

・シュツブにある収蔵庫にて遺物とオストラカの調査と記録

 

2014年(シーズン11)

・ゲベル・アシュート・アルガルビのマッピングと踏査・測量の継続

・第1号墓の地下建築構造、前庭、参道のクリーニング

・H11.1号墓と(山の地質区分)ステージ7のクリーニング継続

・ステージ7と第1号墓前、第1号墓内の建築構造の3Dプランと3D動画の製作

・N13.1号墓のグラフィティ(ディピンティ)と装飾の照合

・M12.3号墓碑文の記録

・第1号墓、N13.1号墓のグラフィティ(ディピンティ)と装飾、M12.3号墓の装飾、遺物、建築学的構造の写真記録

・エジプト人修復家らによる第1号墓、第5号墓、N13.1号墓、M12.3号墓および遺物の修復作業

・土器、人骨、動物骨の調査と記録

・シュツブにある収蔵庫にて遺物とオストラカの調査と記録

 

2012年(シーズン10)

・ゲベル・アシュート・アルガルビのマッピングと踏査・測量の継続

・第1号墓とN13.1号墓の調査

・第1号墓の地下建築構造のクリーニング

・第5号墓、H11.1号墓、イヌの墓のクリーニングの継続

・第1号墓、第5号墓、N13.1号墓、H11.1号墓と遺物の修復

・土器、封泥、廃土、その他遺物の現場およびシュツブ収蔵庫にて調査と記録

 

2010・2011年(シーズン8・9)

・ゲベル・アシュート・アルガルビの山上部マッピングと踏査・測量の継続

・第1・5号墓、H11.1号墓および遺物の修復

・N13.91号墓のクリーニング

・第5号墓、H11.1号墓、イヌの墓のクリーニング継続

・動物骨分析、動物ミイラのレントゲン調査

・土器とその他遺物(特に木製模型と封泥)調査

・州候墓内のヒエログリフの解読と編集

・未報告の墓の碑文と装飾の調査継続

・N13.1号墓のグラフィティ(ディピンティ テキストと図像)照合

 

2008・2009年(シーズン6・7)

・ゲベル・アシュート・アルガルビ中央部のマッピングと踏査・測量の継続

・第1号墓の修復と碑文調査の継続

・第5号墓とN11.1号墓のクリーニング

・N13.1号墓のグラフィティ(ディピンティ)の照合

・N13.1号墓前庭の埋葬遺構のクリーニング

・イヌの墓の調査

・人骨、動物骨、植物遺体、土器、その他遺物の調査

・シュツブ収蔵庫にて遺物整理(特に供献卓と木製破片)

・2009年ソハーグ大学にて国際学会「エジプト学の考古学的調査協力における7シーズン」開催

 

2007年(シーズン5)

・ゲベル・アシュート・アルガルビ北側の追加マッピングと踏査・測量

・第1号墓の修復と碑文調査の継続

・第3号墓の建築物(最終)測量

・第4号墓の上部構造物測量

・N13.1号墓のシャフトのクリーニング、測量、碑文とグラフィティ(ディピンティ)の写真記録と照合

・N13.1号墓前庭の埋葬遺構のクリーニング

・人骨、土器、その他遺物の調査

・シュツブ収蔵庫での遺物整理(特にウシャブティ)

 

2006年(シーズン4)

・ゲベル・アシュート・アルガルビの第1・3・4号墓の遺構と装飾の写真・記録作業の継続

・第5号墓のクリーニングの継続

・N13.1号墓の記録(装飾、碑文、グラフィティ[ディピンティ])、墓の前庭とシャフトのクリーニング

・I10.1、M10.1、P13.1号墓の装飾の照合

 

2005年(シーズン3)

・ゲベル・アシュート・アルガルビの踏査・測量の継続

・第1・3・4号墓の遺構と装飾の記録継続

・第5号墓の装飾の記録開始

・I10.1、M10.1、P13.1号墓の装飾の記録

・近年発見されたN13.1号墓の写真記録

 

2004年 (シーズン2)

・ゲベル・アシュート・アルガルビの踏査・測量の継続

・第1・3・4号墓、H11.1(北の兵士の墓)の墓建築、装飾の記録の開始

プロジェクト参加団体:ヨハネスグーテンベルグ大学マインツ、ヴェストファーレン・ヴィルヘルム大学ミュンスター、ソハーグ大学