Das Grab des Gaufürsten Djefai-Hapi (Grab I)/The Tomb of the Nomarch Djefai-Hapi (Tomb I)

1号墓 州候ジェファイハピの墓

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Grab I/Tomb I (© The Asyut Project; J. Kahl)

 

第1号墓は、セソストリス1世(第12王朝)の治世に、州候ジェファイハピ1世によって建てられた。この建造物は、現存している、エジプトの中王国時代の非王家(個人)に属する岩窟墓の中では一番大きな規模のものである。山に穿たれた55mほどの一連の空間が残っている。墓内部の高さは11m以上になる。加えて、墓の碑文、古い旅行記、アシュートプロジェクトの考古学調査などによると、現在は耕作地となっている所に塔門もしくは入口広間、樹木のあった庭、池、小祠堂が復元されうる。そうすると墓全体の平面図の範囲は、従来考えられていた長さよりも、少なくとも120mほど長くなる。

まだ残存している内部構造は、繰り返し描かれた壁画や石に刻まれた碑文で覆われている。墓内部の装飾の複写は、初めてアシュートプロジェクトにより2004年から行われている。特に、現在まで壁画については知られていなかった。碑文は、中エジプト語の最高例のうちに数えられるがエジプトの文化的記憶の中のアシュートの役割)、その記録がきちんとされているとはまだ言い難い。

第1号墓の碑文、装飾、建築の記録の他、第1通廊の前部のクリーニングも開始された。そこでは、特に参道がはっきりし、耕作地に対する位置が検出され、2004年に考えた仮説を裏付けしている。2014年のフィールドワークの最中に、第1通廊にシャフトが検出された。それらは中王国時代末か第2中間期の始めに再利用され、N13.1号墓の新王国時代のグラフィティ(ディピンティ)にもその「神殿」として記載された、神格化されたジェファイハピ信仰との関係があるようだ。

ここ数年エジプト人修復家らが、装飾の脆弱な部分の強化と、煤や汚れの大規模な除去作業をしている。大交差室の天井の精巧な装飾は初めて正しく確認され、復元されつつある。

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